バッタを倒しにアフリカへ 前野 ウルド 浩太郎
バッタより、色んな意味でぶっ飛んでいるお方!
はい、この作品の作者は表紙通りのお方です。突然ですが海外に仕事に行くのに持っていくものは何でしょう?職種によって様々ですよね。語学力は後からついていくとしてもスーツ(カジュアルでも海外はいいのかな?)は必須ですよね?
スーツよりも、このお方はお酒でした。(賄賂という独特の文化に気づかず没収されました。)そんな前野 ウルド 浩太郎さんのバッタを倒しにアフリカへです。
いきなり読んだ感想ですが、バッタよりぶっ飛んでるな!この人!!です。
モーリタニア(タコの産地として有名ですね)にバッタの被害を食い止めるため、単身飛び立ったバッタ博士のお話し。帯に修羅の道とも知らずに・・・なんて書いてありますが、ほとんど自ら突っ込んでいってるような感じです。このお方、思い立ったら、即行動するタイプでとにかく行動力が凄い。研究者って全員こんなではないよな・・・
とにかく今の若い世代に足りないモノを持っている方です。その分色んな所で、大きくつまずきまくっています、でもめげずにまた向かっていきます、また事故にあいます、でも頑張ります。失敗もたくさんします、でも諦めません。読んでいてうわーと思ってしまう部分もありますが、この人を僕は最終的には尊敬しました。
バッタ云々よりも、この方の破天荒さが面白かったです。研究所や現地の人との一つ一つのやりとりが一々面白い!こんなに世界って日本と違うだと色んな場面で感じました。
異世界居酒屋のぶ 原作 蝉川夏哉 漫画 ヴァージニア二等兵
何度読み返しても、飯テロ!
夜帰って読むと、外食したくなる、たまに読み返すと外食したくなる。そんな飯テロな作品です。原作 蝉川夏哉さん 漫画 ヴァージニア二等兵さんの異世界居酒屋のぶ。
舞台は半分が異世界で、もう半分現代の日本。異世界に繋がった居酒屋さんのお話し。
物語自体はよくある異世界もので、現代日本の料理が人を虜にしますが、作品の主人公がしっかり料亭で修業した大人の男なんで、ちょっと好印象。
ご来店するお客さまとのやりとりに、ほっこりしたり、ハラハラしたり、結構緩急あって面白いです。なにより大将としのぶちゃんの人柄がよく、通ってくるお客さんもそんな所に惹かれているようです。何度も読み返しても飽きないそんな作品。
ご飯の描写もたまらんものがあり、お腹がすき、居酒屋に行きたくなる!とかそういうわけでなく、とりあえず作品に出てくる食べ物を食べたくなるんですよね。
居酒屋言って食べてみたい気持ちもあるにはあるんですがお酒が飲めないもので、失礼に当たるかと思ってしまう自分がいる・・・友達とだったら行けるんですが一人では・・・なので、代用としてよく近場のファミレスを利用してます。最近は色々なチェーンがあって大体のニーズには答えてくれるので便利ですね。
原作は小説なんですが手を出してないんですよね、この手の奴は絵が好きでなもので・・・でもいつか読もうかな。
1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365 デイヴィッド・S・キダー,ノア・D・オッペンハイム
朝起きて流し読み、夜寝る前にゆったり読める。
どこの書店行っても、おススメされていたので購入。1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365。1日1ページお手軽に読むだけでOK!なるほど勉強嫌いな僕でも続けられそうです。
初めに読み方が書かれているのですが、ベッドの脇に置いて、朝と夜に読むことが推奨されていました。真面目にじっくり勉強するように読むわけでなく、朝の脳に知識という刺激を与え、夜眠る前に読み返すことで知識として身につけることができる、便利な一冊です。
早速読んでみました、なるほど、聞いたことはあるけど詳しくは知らない単語の知識が身につきます!次へ次へと読みたくなる気持ちはありますが、1日1ページを焦らず読んだほうが記憶に残りますね。曜日ごとに科目が決まっているのもうれしい、毎日同じ分野を読み続けるより、違う分野の知識をサラッと教えてくれた方が、豆知識のようにお手軽に吸収しやすい。歴史、文学、芸術、科学、音楽、哲学、宗教、各分野の学者さん、研究者さんが執筆を担当されていますが、小難しく書かれていないのがいい(翻訳者の小林朋則さんの翻訳が良いのかもしれませんが・・・)
とにかくこんな形式で本を作ろうと思った、お2人には唯々感心させられる。この年になるまで、こんな形の本には出合わなかった。読んでいるとわかるが、とんでもなく時間と労力がかかった本だ。著者のお2人もこのことに触れているが、執筆から監修まで数々のスペシャリストの協力がなければ完成できかったものだ。素晴らしい。
1日1ページ、ゆっくり、じっくり、焦らず、最後まで読んでいこうと思う。
少女禁区 伴名 錬
死と少女たちの物語
前回の更新から一カ月以上たった知らせが届いた。細々とやっていくつもりだったが、ここまで長く忘れているとは、我ながら情けない。
もうすぐ夏も終わり・・・ということで、ちょっとホラーな作品をご紹介。
伴名 錬さんの少女禁区です。こちらの本、chocolate,blood,biscuit,heartsと少女禁区の2つの短編からなっているのですが、私が特に記憶に残って面白かったと感じたのが、少女禁区ですね。短編だからもちろん短いですが、短い中でも引きこまれる世界感が好きでした。
舞台は、呪詛や呪具という呪いの力が存在する世界での村のお話し。かつて強大な力を持った呪詛使いの少女に仕えた下僕の少年、物語は彼が年老い、死を目前にした彼の視点で語られます。
15歳の頃、少年は「お前が私の玩具になれ、死ぬまで私を楽しませろ」と言い放つ傲慢ですが、美しい黒い着物と艶やかな黒髪の少女に仕えていました。12歳の少女は、その年にしてあらゆる呪詛を習得しており、少年が何かやるたびに少女はひとがた(呪具)に釘を刺し、彼を痛めつけ、笑い、何もしなくても呪詛の実験に利用し、笑っていました。
そんな彼女を村で止められる者はいません。
彼女は、数百年に一度と言われる呪詛の才を持ち、村で呪詛に自信があった子供も彼女に負け、呪いにより散々な目にあわされ、村の子供たちは彼女を恐れていたのです。
村の大人たちからは、彼女には親殺しのをしたかもしれないという事で、村での変事は彼女の仕業ではないか、彼女に関わると不幸が降りかかると噂し遠巻きにしていました。たかが12歳の少女に怯えるって、最初は思いましたが、この世界ではそれだけ呪いの力が重視されているってことですよね(実際、誰彼構わず呪えたらと思うと怖いですね。)
そんな村で、少年と少女がどんな結末を迎えるのか、是非読んで見てください。
最後まで読んでみるとこの作品ってホラー?となるかもしれませんが、僕的にはラストがグッときたんでジャンルとかは気にしないでおきます。
- 作者: 伴名練,シライシユウコ
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/10/23
- メディア: 文庫
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獣の樹 舞城王太郎
馬から生まれた少年の恋と革命の物語
暑い暑い暑い、とにかく日中は本格的に熱くなってきました。季節はまさに夏!私の天敵のセミも出現し始めました。(洋服見に行ったらもう秋物売ってますけど・・・早くないですか?)
ちょっと読んでいて不思議な世界観に浸れるので、中々手放せない本をご紹介。舞城王太郎さんの獣の樹です。この本読んでいてなんですが、かなり独特の世界観なので、癖が強いというかなんというか・・・説明なしに色々ぶっこまれるのでそういうの苦手な人はやめたほうがいいかもです。
舞台は西暁町、馬から生まれた少年、成雄(背中に勇猛な鬣、脚力は人外の領域)が主人公です。家族となるヒトの兄弟、正彦との出会い、段々とヒトの中に溶け込んでいく成雄ですが蛇を操る少女、楡、彼女に導かれた殺人現場によって日常から離れていきます。そして獣による革命の始まります。
彼の出生の謎、様々な面が一冊にぎっしり詰まりすぎており、要約するのが難しい。少年が、青春を謳歌する作品でなく、世界がどんどん彼に迫ってきます。ヒトの中での生活、恋、迫る革命、出生の謎の解明、秘密の地下室、失踪した父親と成雄が休まるときはありません。次々と選択を迫られます。とにかく読めばその魅力にはまる一冊。
ただし、よくわからん神話要素や突然出てくるカギを握る人物など、とにかく突然の展開が多い。急に動物喋るし・・・成雄が恋のような感情を抱いたと思ったらその後が・・・ついていくのに根気がいる作品でした。でも面白い。
ダイナー 平山夢明
お客様は全員プロの殺し屋です。
久々の更新です。さいきんすっかり小説家になろうにはまっていて、中々記録がつけられんでいました。今回記録するのはこちら、平山夢明さんのダイナーです。
初っ端から主人公が埋められる寸前という中々ハードな展開から始まります。まあ主人公が危険なバイトに手を出したことが原因ですから、完全に身から出た錆ですが・・・
主人公の名前はオオバカナコといいます。作者のネーミングセンスのインパクト初っ端から凄いなと思いました。名前に反して、この主人公、頭が切れます。生き残るために様々な事に度胸と知恵で立ち向かっていきます。
最初の危機を逃れたあと、とあるダイナーで働くことになる彼女ですが、店主ボンベロは元殺し屋(実力現役)で命令が聞けないなら殺すと言います。この主人公初めから終わりまで、ジェットコースターのように地獄が続きます。女性ですが、容赦なく殴られます、殺されそうになります、犯されそうになります、命がいくつあっても足りない状況が続きます。そんな彼女から目が離せない作品でした。
彼女を取り巻く面々も癖のある全員濃いキャラ揃いで、作者がイメージした殺し屋は、とりあえず全員が方向性は違うけど異常な部分を持っているが、この店にひと時の安寧を求めに来ているって感じでした。店主が作る料理が一々おいしそうで、高いハンバーガーが食べたくなりました。
刺激が欲しいという人におススメの作品となっています。是非いかがでしょうか?
ジェノサイド 高野和明
想像力が半端ないって感じの作品!!
半端ないってが流行っておりますが、半端ないというか、とにかく面白かったというか、これ考えた人すげえなと私が思った本です。高野和明さんのジェノサイド
舞台は現代、イラクから南アフリカ共和国からコンゴ民主共和国サイドと日本サイドで同時に進行するストーリーとなっております。
イラクから始まる物語は主人公のジョナサン・イェーガー(元グリーンベレー、現傭兵)が、ある特殊任務を受けることになります。その任務はアメリカが発令し、人類の危機を救うとされるネメシス作戦。彼は裏にアメリカがいるとは知らず、息子が難病のために大金を稼ぐ必要になり、この任務に就くことになります。南アフリカに向かい精鋭の仲間3人と合流し、コンゴ共和国でのあるものの排除を命じられることになります。
一方で日本サイドでは、主人公の古賀研人(大学院生、創薬化学研究)は大学教授である父に反発して実験に没頭していました。しかし彼の父が亡くなり葬儀の際にハイズマン・レポートという聞きなれない言葉耳にします。そして自分のPCに届いた亡くなったはずの父からメールが、彼の大きく運命を変えることになります。父のPCに入ったGIFTという極めて高度な創薬ソフトを使い、期限までにある創薬を完成させなければならなくなりますが、警察の捜査が邪魔をします。ここでようやく彼もとんでもない使命に巻き込まれたことを自覚します。
ラストまで最高でした。アフリカと日本、繋がるはずのない点を繋げるこの想像力が凄い。個別の展開が段々と繋がっていき、見事に点から線となっていました。
- 作者: 高野和明
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/03/30
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青のフラッグ KAITO
夏といえば、やぱっり青春ものですよね!!
暑さが増してきて夏らしくなってきたので、この季節に読みたくなる作品をご紹介します。最近読んではまったKAITOさんの青のフラッグです。青春ものの漫画を買ったのは久しぶりです。
人生の岐路である高校三年生の3人の青春純愛物語。表紙裏のあらすじを見てすぐに、今俺が読みたい作品はこれだ!!ってきました。
物語の主役は、一之瀬太一(ミニマム、食べ方が独特)と幼馴染の三田桃真(リア充イケメン身長189cm)、この幼馴染に思いを寄せる空勢二葉(小動物を思わせるような女の子)の三人ですね。ある日二葉から幼馴染である桃真に対しての恋心を打ち明けられ、協力することになります。太一も最初は、彼に対して昔よりも少し距離をとっていましたが、段々と昔の距離に戻っていくのも良かったです。
この三人の関係は物語を進むにつれて複雑に変化していきます。失敗したり、ぶつかり合ったり、思いがすれ違ったり、この年にしか経験できないことがいっぱい詰まってます。この3人以外にも関わってくる物語に大きな影響を与える人がおりますが、それは実際に読んでみてください。1巻読みを終わったらすぐに続きが読みたくなると保証します。
みんなこの年頃は、感情を素直にさらけ出してたよな、高校時代ってこんな感じだったよなと思いださせてくれるような作品でもあります。社会にでたら感情をさらけ出す機会なんて滅多にありません。飲み会やらなんやらでも所詮は仕事の延長戦。若い人には、どんどん青春できるときに青春してほしいですね。おっさんからのアドバイスです。
塩の街 有川浩
塩が全てを飲み込む世界で・・
夏らしく熱くなってきたと思ったら、今朝は急に冷え込んできました。寒暖差に弱いおっさんです。はい。本日は有川浩さんの塩の街です。有川さんのデビュー作ですね。上記の画像のように電撃文庫から出ていましたが、後に番外編も収録したのが角川文庫からでて、そちらを購入しました。高校時代から友人に薦められて気になってはいたのですが、表紙でためらい買えず、図書室にあるにもかかわらず借りず。大学生になってから読みました。(ハードカバー版もあったりと色々わけありの作品、いい意味で)
塩が全てを埋め尽くしていく世界での物語です。舞台は東京、空から落下した塩の塊によって世界は変えられました。その塩は、直接視認することでウイルスのように人に感染し、塩にしてしまう。またその塩になった人を見ても感染するというゾンビより酷い感染力を持った塩が東京を襲います。政府の人間もことごとく被害にあい、都市機能が麻痺した状態で治安も悪化しております。そんな東京で、元航空自衛隊の秋庭と両親を失った少女が出会うことで物語は始まります。自衛隊と女子高生、本来出会わない境遇の二人がこの塩に飲まれた世界で出会うことに意味がありました。番外編もその後が見られて良かったです。
有川浩さんと言えば図書館戦争シリーズが有名ですが、他にも、空の中、海の底もおススメです。パニックの時に人がどう行動するかが実にリアルで好きです。図書館には必ずあると思うので是非読んでみてください。(シアターシリーズ再開しないのだろうか・・・)
- 作者: 有川浩
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/01/23
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- 作者: 有川浩,大矢正和
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2009/12/16
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終戦のローレライ 福井晴敏
1945年太平洋戦争の最中、戦利潜水艦伊五〇七は「あるべき終戦の形」為に出発する。
久々に更新!
前回から結構たちました。久々の更新。蒸し暑い日々が続きますね。夏はラストがスッキリとした。この本を記録します。
福井晴敏さんの終戦のローレライです。上記の画像はハードカバー版ですが、ブックオフでまれに見かけることもあります。(文庫版だと四冊も分冊してる。絵はキレイだけど。)
舞台は太平洋戦争の最中、日本にあるべき終戦の形、未来を見据えた日本軍の大佐浅倉の命令を受けた戦利潜水艦伊五〇七が 困難な任務の遂行することになります。この艦にはドイツが開発した特殊音響兵装「ローレライシステム」が搭載されており、このローレライの中で、乗組員の折笠 征人(17歳、周囲の状況把握に長けている)はパウラというドイツ人の少女(日本人が祖母、クォーター)出会うことになります。なぜ兵器の中に少女が乗っていたのか。そしてローレライを巡って物語は複雑に絡み合っていきます。浅倉が考えたあるべき終戦の形とは?乗組員たちが最後に選択した道は、そして戦火に最中出会った二人の行方は・・・
数ある戦争を扱った作品の中でもこの作品が一番かも。別れが悲しいお話でもあります最もラストが納得できて、読み終わったらスッキリした。映画版のローレライと漫画版も見たけど福井晴敏さんの原作が一番心に残った。