フクロウの蔵書保管庫

忘れたくない、思い出したい、読んだ本の記録をつけていきます。

少女禁区 伴名 錬

死と少女たちの物語

少女禁区 (角川ホラー文庫)

前回の更新から一カ月以上たった知らせが届いた。細々とやっていくつもりだったが、ここまで長く忘れているとは、我ながら情けない。

もうすぐ夏も終わり・・・ということで、ちょっとホラーな作品をご紹介。

伴名 錬さんの少女禁区です。こちらの本、chocolate,blood,biscuit,heartsと少女禁区の2つの短編からなっているのですが、私が特に記憶に残って面白かったと感じたのが、少女禁区ですね。短編だからもちろん短いですが、短い中でも引きこまれる世界感が好きでした。

 

舞台は、呪詛や呪具という呪いの力が存在する世界での村のお話し。かつて強大な力を持った呪詛使いの少女に仕えた下僕の少年、物語は彼が年老い、死を目前にした彼の視点で語られます。

15歳の頃、少年は「お前が私の玩具になれ、死ぬまで私を楽しませろ」と言い放つ傲慢ですが、美しい黒い着物と艶やかな黒髪の少女に仕えていました。12歳の少女は、その年にしてあらゆる呪詛を習得しており、少年が何かやるたびに少女はひとがた(呪具)に釘を刺し、彼を痛めつけ、笑い、何もしなくても呪詛の実験に利用し、笑っていました。

そんな彼女を村で止められる者はいません。

彼女は、数百年に一度と言われる呪詛の才を持ち、村で呪詛に自信があった子供も彼女に負け、呪いにより散々な目にあわされ、村の子供たちは彼女を恐れていたのです。

村の大人たちからは、彼女には親殺しのをしたかもしれないという事で、村での変事は彼女の仕業ではないか、彼女に関わると不幸が降りかかると噂し遠巻きにしていました。たかが12歳の少女に怯えるって、最初は思いましたが、この世界ではそれだけ呪いの力が重視されているってことですよね(実際、誰彼構わず呪えたらと思うと怖いですね。)

そんな村で、少年と少女がどんな結末を迎えるのか、是非読んで見てください。

最後まで読んでみるとこの作品ってホラー?となるかもしれませんが、僕的にはラストがグッときたんでジャンルとかは気にしないでおきます。

少女禁区 (角川ホラー文庫)

少女禁区 (角川ホラー文庫)