フクロウの蔵書保管庫

忘れたくない、思い出したい、読んだ本の記録をつけていきます。

獣の樹 舞城王太郎

馬から生まれた少年の恋と革命の物語

獣の樹 (講談社ノベルス)

暑い暑い暑いとにかく日中は本格的に熱くなってきました。季節はまさに夏!私の天敵のセミも出現し始めました。(洋服見に行ったらもう秋物売ってますけど・・・早くないですか?)

 

ちょっと読んでいて不思議な世界観に浸れるので、中々手放せない本をご紹介。舞城王太郎さんの獣の樹です。この本読んでいてなんですが、かなり独特の世界観なので、癖が強いというかなんというか・・・説明なしに色々ぶっこまれるのでそういうの苦手な人はやめたほうがいいかもです。

舞台は西暁町、馬から生まれた少年、成雄(背中に勇猛な鬣、脚力は人外の領域)が主人公です。家族となるヒトの兄弟、正彦との出会い、段々とヒトの中に溶け込んでいく成雄ですが蛇を操る少女、楡、彼女に導かれた殺人現場によって日常から離れていきます。そして獣による革命の始まります。

彼の出生の謎、様々な面が一冊にぎっしり詰まりすぎており、要約するのが難しい。少年が、青春を謳歌する作品でなく、世界がどんどん彼に迫ってきます。ヒトの中での生活、恋、迫る革命、出生の謎の解明、秘密の地下室、失踪した父親と成雄が休まるときはありません。次々と選択を迫られます。とにかく読めばその魅力にはまる一冊。

 

ただし、よくわからん神話要素や突然出てくるカギを握る人物など、とにかく突然の展開が多い。急に動物喋るし・・・成雄が恋のような感情を抱いたと思ったらその後が・・・ついていくのに根気がいる作品でした。でも面白い。

 

獣の樹 (講談社ノベルス)

獣の樹 (講談社ノベルス)